クリニック開業・医院開業の手順とは
クリニック開業・医院開業までの手順は、診療科目や戸建てかテナントかなどの条件や状況によって異なりますが、ここでは一般的な手順を紹介します。
クリニック開業の手順
クリニック開業する際、手順を踏むことで効率良くスケジュールを進めていくことができます。開業スケジュールと併せてしっかり把握しておきましょう。
- 経営計画・診療方針の策定
- 開業スケジュールの調整
- 開業エリア・物件の選定と診療圏調査
- 資金調達の方法を検討
- レイアウトの企画・内装工事
- 医療機器の選定
- リスクマネジメント
- 税理士の選定
- スタッフの採用・研修
- 集患・PR活動
- 開業手続き
それぞれの手順について、以下で詳しく説明していきます。
1. 経営計画・診療方針の策定
クリニックの開業を考え始めたらまずは経営計画と診療方針を策定します。経営計画とは開業から長年継続していく経営上のバイブルともなる重要なもの。ご自身の医院開業の目的や理念、方向性を「そもそも」の部分から見つめ直してみましょう。
診療方針は、地域医療において自院がどのようなクリニックを目指すのかを示すものです。地域における役割、専門性、必要性を洗い出し、将来にわたってスタッフ全員で目標とできるものにしましょう。
これらは開業の根幹となる部分ですから、その先の多岐に渡る決定事項を決めるための指針ともなっていきます。
2. 開業スケジュールの調整
開業のタイミングは診療科目によって適切な時期が異なります。内科であれば風邪が流行る冬の時期、耳鼻科であれば花粉症患者が増える冬から春にかけて、など狙うべき時期があります。
そういった事情を踏まえて開業時期を決定し、オープンまでのスケジュールを調整していきます。開業までにはとても多くの手順やタスクがあるので、フローやスケジュールは見やすく整理して書き出しておくと漏れがなくなります。
3. 開業エリア・物件の選定と
診療圏調査
一度、開業したら簡単に変えられないのが開業場所です。特に戸建て開業や自宅併設の場合などは変更するのが難しいでしょう。開業エリアの選定は診療圏調査を綿密に行い、多角的な視野から分析して慎重に選定しなければなりません。
注意していただきたいのは、経営という視点からもしっかりエリアを見ることです。現在の状況だけでなく将来的な人口の増減も鑑みながら経営計画に則ったエリア選定をしましょう。
エリアを絞り込んでから具体的な物件を選んでいきます。物件によっては保健所から不可とされることもあるため、必ず物件の賃貸契約を結ぶ前に保健所に確認に行きましょう。
4. 資金調達の方法を検討
開業エリアが選定と同時に行うのが、開業資金の調達をどうするか考えることです。開業資金の目安を算出し、自己資金以外にどのくらいの融資が必要なのか把握しておきましょう。
融資先の選定や必要な事業計画書の作成を行い、融資申し入れをします。事業計画書には「開業時の支出内訳」「資金調達の内訳」「初年度収支計画」の情報が必要になるので、スムーズに融資を受けるためにも、経営計画に基づいた明確な説得材料を打ち出しましょう。
5. レイアウトの企画・内装工事
開業物件が決まったら、動線や医療機器の設置場所を考慮しながらレイアウトを決め、内装工事をします。
経営計画や診療方針に沿って院内のイメージを決定していくと良いでしょう。自分の好みだけでなく、ターゲットとする患者を意識した内装がクリニックのイメージアップにも繋がります。
予算の範囲内で可能なことには限界がありますが、可能な限り理想を実現できるよう、内装業者の選定も重要です。クリニックの内装実績が豊富な業者なら、ご自身で気づけない提案も受けられます。
6. 医療機器の選定
内装と同時進行で医療機器の選定を行います。診療科により必要な機器は異なりますが、設置場所の決定や搬入は内装工事と関連性が深いため、医療機器の大きさや重量、設置の向きなども決めておくと内装工事もしやすくなります。
また電子カルテも、使用する医療機器との連携や使い勝手から選定するのが基本。医療機器の選定と一緒に選択するのがおすすめです。
7. リスクマネジメント
開業にあたって後回しになりがちなのがリスクマネジメントです。勤務医と違ってご自身のケガや病気などで休業を余儀なくされると、経営自体が立ち行かなく可能性もあります。適切な保険へ加入をするなどして、開業前にリスク対策をしておきましょう。
8. 税理士の選定
クリニックの会計・税務は煩雑で多岐に渡ります。正確性も求められるため、ご自身やスタッフで行うのは手間や管理ミスの不安が残る場合も。費用はかかりますが、税理士に依頼してクリニック運営のサポートをしてもらうことをおすすめします。
9. スタッフの採用・研修
経営計画をベースに運営に必要なスタッフの人数を決め、求人サイトなどで募集して採用活動をします。ご自身の他に医師を採用したい場合もあるでしょうし、看護師・受付事務などの人材も必要となるため、必要なスタッフの人数を決めてから採用方法を決めましょう。
採用するスタッフが決定したら、開院までに経営計画や診療方針を共有し研修を行います。
10. 集患・PR活動
開業にあたり集患は重要です。開院しても患者がクリニックの存在を知らなければ、足を運びようがありません。できるだけ多くの人に存在を知ってもらえるPR活動をしましょう。
クリニックの場合、集患が期待できるのはホームページと口コミがメインです。患者の方でも検索してクリニックを比較検討しているため、ホームページは強い武器になります。ただし、医療機関の広告には法律によって禁止されている事項が多く、表現や表記が難しいことも。医療機関の広告に精通した業者へ依頼するとよいでしょう。
11. 開業手続き
クリニックの開業は、以下をはじめとする届出が必要です。提出自体は難しくありませんが、内容が認められない時間がかかりますし自治体ごとに求められる提出書類が異なることもあるため、開業エリアを管轄する行政機関で事前相談をしてから行うことをおすすめします。
- 保健所……診療所開設届
- 厚生局……保険医療機関指定申請
クリニック開業準備を
スムーズに進めるには
開業準備で行うべきことは多岐に渡りその上とても煩雑です。これらをご自身だけで行うのは時間がかかる上にミスや漏れなども起こりがちです。医師として注力したい医療業務に集中するためにも、開業支援実績が豊富で開業予定地の事情に詳しいコンサル会社など依頼して、適切なサポートを受けるのがおすすめです。
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