政府系金融機関である日本政策金融公庫の制度のひとつに、中小事業者に向けた起業資金・運転資金の貸付があります。民間の金融機関に比べて比較的低金利で、不動産や有価証券といった担保を提供できるのであれば最大7,200万円まで融資を受けられます。
もちろん、クリニックの新規開業も対象になるので、自己資金だけで初期投資をまかなえない場合はぜひ前向きに検討したい制度です。
新たに起業する人、もしくは起業後約7年以内の人が対象です。もちろん、クリニックを新規に開設するドクターも該当します。
新規事業のため、もしくは起業後に必要な設備資金や運転資金として使用できます。クリニックの開業後に追加で設備を整える場合などにも使えます。
担保があれば最大7,200万円まで融資を受けることができます。ただし、そのうち運転資金に用いるのは4,800万円が限度です。
設備資金であれば20年以内、運転資金であれば7年以内とされています。設備資金、運転資金ともに2年以内の返済据置期間を設定することができます。
日本政策金融公庫の融資の金利は、民間の金融機関に比較して低いケースが多く、固定金利というのもメリットです。新規開業資金の場合はさらに特別利率を適用できる場合があり、たとえば「女性の方、35歳未満または55歳以上の方」というのもひとつです。女性で開業を考えている先生は、ぜひこの資金を検討すべきでしょう。
日本政策金融公庫の融資を受けるメリットは大きく3つあります。
まずは固定金利であること。低金利時代の昨今、固定金利の魅力は大きいと思われます。
ふたつ目は低金利であること。前述のとおり民間の金融機関よりも金利が安く、商品によっては1%未満のものもあります。最後は返済期間が長期であること。民間の金融機関であれば設備資金の返済期間は10年程度に設定されますが、日本政策金融公庫であれば最長15年まで可能です。
ちなみにメリットとは少し違いますが、やはり日本政策金融公庫は政府系の金融機関ですので、医療福祉に関する事業、ソーシャルビジネスは前向きに検討してくれる印象があります。
日本政策金融公庫に限りませんが、事業計画書はクリニック経営の事業性を証明する重要な書類で、融資を受ける際には必ず提出しなければなりません。これは民間の金融機関でも日本政策金融公庫でも変わらないルールです。
融資する側は事業計画書を確認し、開業に必要な資金はいくらか、十分な収入を得られるのか、どのくらいの利益を見込めるのか、返済のための余力はどのくらいか、といった内容をチェックします。
ただし、事業計画書はすぐにできるものではありません。もし短時間の「やっつけ仕事」でつくった事業計画書なら、融資する側は簡単にそれを見抜きます。そうなると、まとまる交渉もまとまらなくなってしまうでしょう。
少なくとも開業の半年前にはドラフト(たたき台)を作成し、ご自身の望むクリニックの姿を思い浮かべながら丁寧につくり込んでいくべきです。場合によっては、経験豊富な開業コンサルの力を借りるのもいいでしょう。ですが、必ず先生ご自身の考えを込めてください。そういう思いのこもった事業計画書であれば、申請も上手くいくことでしょう。
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