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クリニック開業・医院開業における失敗・後悔事例

ここでは現役の開業コンサルへの取材内容を元に、実際にあった開業失敗事例をまとめています。クリニック開業において見落としがちな、開業準備だけに集中してしまい、開業後の経営まで考慮していなかったことなどがあります。

目次

クリニック開業の失敗例

せっかく開業したのに失敗や後悔する結果にならないためにも、実際にあった失敗実例を知り、事前にリスクを避けましょう。

不動産への過剰投資により
失敗したケース

「高級住宅街に暮らす人たちに相応しい、医療面でもハード面でも質の高いクリニックを開業したい」そんな理想を持つドクターが思いを実現させ、豪邸が軒を連ねる都内の某エリアに内科・外科・小児科を標榜する戸建てクリニックをオープンしました。

場所ありきでの計画でしたが、当然ながら不動産の価格は一般的なクリニックの初期投資にはあり得ないほど高額で、開業資金の見積もり総額はなんと4億円。それでも多くの患者さんが来院してくれるから大丈夫と「バラ色」の事業計画を策定、金融機関をどうにか説得して資金を調達しました。

結果はご想像のとおり、すでにかかりつけ医を持っている地域住民がすぐにそのクリニックにかかるようなことはなく、オープン直後の収支は惨憺たるものでした。十分な運転資金の余裕を持たないままに見切り発車してしまった影響も相まって、クリニックはわずか半年足らずで資金がショート、いわゆる倒産の憂き目を見るはめになったのです。

クリニック開業失敗の考察
【無謀な過剰投資】

失敗の考察は言うまでもなく、無謀な過剰投資が最大の原因です。収支の見込みも甘すぎると言わざるを得ず、極めて実現性の乏しい事業計画に乗って動いてしまったこと、これは後悔してもしきれないでしょう。

残念ながら、このドクターの周りには無茶な計画を止めてくれる優秀な参謀役がいなかったことも失敗の要因と言えます。商圏調査の甘さも理由と言えます。もし経験豊富で信頼できるクリニック開業コンサルがついていれば、このようなことにはならなかったのではないでしょうか。

メディカルモールの
派閥問題に巻き込まれて
失敗したケース

西日本の大都市でメディカルモール開業を果たしたドクターの事例。皮膚科が専門のそのドクターは、できるだけ初期投資を抑えた開業を検討。そのためビルテナント開業や居抜き継承の物件を探していました。

そんなときに舞い込んできたのがメディカルモール開業の案件。すでに小児科や耳鼻咽喉科のクリニックが入っており、それらの診療科と親和性の高い皮膚科ならクリニック同士で連携して集患効果も高いだろうと、モールの最後のひと枠でクリニックをオープンさせました。

ところが、そのメディカルモールではクリニックのヒエラルキーが完全にできあがっており、その医療モールにはボスのような開業医が存在し、他のクリニックはまるで言いなりの子分状態。皮膚科医はなぜかそのボス開業医に目をつけられてしまい、患者さんの紹介がまったくないどころか根も葉もないクリニックの悪口を吹聴され、院長は精紳的にすっかり参ってしまいました。

クリニック開業失敗の考察
【周囲のクリニック・ドクターについてのリサーチ
不足】

あとになって調べたところによると、そのボス開業医は勤務医時代から周囲を陥れようとする性格で組織になじめず、仕方なく開業した経緯があることがわかりました。今までかかわったことのない院長にとっては、そんなことは知る由もありません。医療ニーズだけではなく、連携の可能性があるクリニックの情報も調べておけばよかった、そう思っても後の祭りです。

医療モールでの開業はすでに開業している医師やクリニックとの相性が重要です。そういった点もしっかりアドバイス&フォローしてくれるコンサルを付けるのがリスクを避ける一手となったでしょう。

院長の急逝による失敗

人口30万人程度の中核都市、駅から少し離れた再開発エリアに小児科クリニックがオープンしました。院長は30代後半、独立にはちょうどいいタイミングで、しかもそのエリアでは同じく医師だった祖父がかつて開業していたという縁。残りの医師人生を思い入れのある土地で過ごそう、そう考えて念願だった住宅兼の戸建てクリニックを開業しました。

そのエリアは若い世代に人気がある割に小児科クリニックが少なく、開業当初は地元住民からも大歓迎を受けました。滑り出しも好調でわずか数カ月で収支は黒字に転換。さてこれからというときに悲劇が起こりました。院長を襲った突然の大動脈解離によって、残念ながら帰らぬ人に

家族は悲しみに暮れつつも、取引先だった地元の薬品卸業者に居抜き継承を受けてくれるドクターを探してくれるよう依頼しました。しかし、なかなかすぐに見つかるものではありません。さらに問題は、院長が経営者保険に入っていなかったことです。結果として、開業資金の返済だけが重く残されました。

クリニック開業失敗の考察
【最悪のリスク想定ができなかった】

不幸なことは考えたくもありませんが、万一のことは誰にでも起こり得ます。クリニックの開業にあたってはリスクマネジメントの一環として、さまざまな保険を検討すべきことをこのケースは示しています。

事業継承の交渉がうまくいかず
失敗したケース

とある地方都市の、古くからある住宅街に位置する戸建ての内科クリニックの事例です。そのクリニックは地元の評判も良く、幅広い世代の患者さんに愛されてきましたが、お子さんに恵まれなかった院長先生の悩みは後継者がいないこと。70歳を目前にして医師人生に一区切りをつけようと、事業継承をコンサルに打診しました。

コンサルは独自のネットワークを活かし、開業意思のある若手ドクターの情報をキャッチ。そのドクターは自己資金に不安があったため、いわゆる「居抜き開業」できるならと前向きに検討、交渉は予想以上にスムーズに進みました。継承費用の見積もりは、若手ドクターにとっては通常の開業よりもローコスト、院長にとっても退職金代わりとして満足できる金額でしたが、契約がまとまりかけたときに話が一転します。

突然、院長の奥様が交渉のテーブルに登場したのです。いわく「うちのクリニックはこんなに患者さんがついている。この金額では『のれん代』として安すぎる」として再交渉を主張しました。提示された条件は法外ともいえる金額で、間に入っていたコンサルが何度説明、交渉しても首を縦に振ってくれません。

若手ドクターは話がこじれてきたことにすっかり嫌気がさしてしまい、事業継承は白紙状態に。このやり取りが尾ひれのついた噂となって業界に広まったおかげで、このあと手を挙げるドクターも現れず、結局そのクリニックは廃業することになってしまったのです。

クリニック開業失敗の考察
【家族や関係者の協力理解を得られなかった】

このケースでは継承元、商圏を受け継ごうと考えていた2名のドクターにとって失敗となりました。継承元である院長と奥様がしっかり話し合っていれば、おそらく話はまとまっていたということにつきますが、ご自身が受け継ぐ立場の場合は継承元の事情を事前にしっかり確認しておくことが必要でしょう。

特に開業はビジネスという視点だけでなく、家族やライフプランにも関わってきます。この件は、かかりつけ医を失った地域住民にとっても、大きなマイナスとなってしまったケースといえます。

クリニック開業失敗事例の
まとめ

いずれのケースにも共通しているのが、開業準備段階における確認根回しの甘さが要因と言えます。すべてが事前解決できるトラブルとは言い切れませんが、想定できる不安要因はできるだけ潰しておきたいもの。初めてクリニック開業をする際はご自身で収集できる情報にも限界があるでしょうから、支援実績が豊富なコンサルをパートナーにしておくのは賢い選択の1つと言えるでしょう。

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