クリニックを開業して独立するということは、経営者としての人生も始まるということです。そこで気になるのは、やはりお金の話。クリニックを開業したいけれど、いくらかかるのか見当がつかず、躊躇している先生も多いかもしれません。ここでは、クリニック開業に必要な資金の目安についてまとめています。
自己資金だけでクリニックの開業資金をまかなえるケースは滅多にありません。多くの先生は、開業の際に金融機関などから融資を受けています。しかし、金利や返済期間の設定など、これまでの医師人生で考えたこともないような問題を金融機関との交渉では考えなければなりません。
また、資金調達の手段は金融機関に限ったことではありません。各都道府県の制度融資や医師会の開業向け貸付制度など、場合によっては民間の金融機関よりも有利な条件で資金を調達できることもあります。
国や地方自治体が設けている各種補助金制度には、クリニックの新規開業でも申請できるものがいくつもあります。特に現在は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、医療機関にはさまざまな補助金・助成金の類が増えています。
また、従来の雇用関係の助成金も忘れてはいけません。クリニックの人事は開業医を悩ませる問題のひとつですが、それをカバーするような助成金はぜひ利用したいところです。ちなみに、多くの補助金には期限があるので、申請漏れのないように気をつけましょう。
日本政策金融公庫は政府系の金融機関で、金利面や返済期間、据置期間などで有利な条件を得られるケースが多くあります。クリニックを新規に開業する際に資金調達が必要な場合は、ぜひ日本政策金融公庫の融資を検討すべきです。
ただし、きちんとした事業計画書が必要なのは民間の金融機関と変わりません。先生の思いがこもった、実現性の高い事業計画書を作成し、融資交渉に臨みましょう。
「開業をしたいけれど、どうやって進めていけばいいのかわからない……」そんなときに頼りになるのは、経験豊富で専門的な知識を持ったクリニック開業コンサルの存在です。コンサルによって開業前のフルサポートを受ける場合、開業後の経営もサポートしてくれる場合、開業までのプロセスの一部をピンポイントでサポートしてくれる場合などさまざまで、費用も千差万別といえます。
開業コンサルはスムーズな開業準備のためにも積極的に利用すべきですが、費用も安くはありません。できる限り費用は抑えておきたいところです。
開業医が背負わなければならないリスクの大きさは、勤務医とは比較になりません。たとえばご自身の病気や怪我で仕事ができなくなってしまった場合、勤務医であればご自身だけの問題かもしれませんが、開業医となるとスタッフの生活や借入金の返済など、とても大きな問題になってしまいます。先生がクリニックを守っていくというスタンスで、保険のことを考えていく必要があるでしょう。